先日いわゆるスポーツ刈のお客様(年配者)に言われたのだが『なんで(上の部分)バリカンを使うんだ!?』
僕『その方が綺麗に仕上がりますよ』
お客様『いつもの床屋はそんなことやらないぞ』
はい。このての方は結構います笑
ちなみに基本的にはトップの部分はハサミで切り進めていくのが基本です。
『理容師みんなが同じ切り方をするわけではありません。』
僕はこう返した。
これにはみなさん賛否両論あると思います。
お客様の立場からしたら自分の希望通りやってほしい、いつもと違う切り方で本当にいつもと同じ髪型になるんだろうか…技術者側からするとベテラン理容師さんとかはスポーツ刈、角刈りはハサミのみで基本作っていくものだ…そんなやり方は邪道だ。
と、声が聞こえてきそうですが…
僕は何があろうとバリカンを使う。理由は単純だ。
綺麗に仕上がる、早い、楽。
病院内施設で『福祉理容師』として活動する僕にはお客様の体に負担がかからないようスピーディーにかつ丁寧に施術するのをスタンスとしているので必然的にバリカンを多用するわけだが。
でも僕は一般的なサロンで働いても効率を重視しバリカンを使いますね。
ちょっとここで僕の過去の話をしよう。高校卒業後『カリスマギャル男理容師』を目指し埼玉県の大手理容室へ就職。根性なしだった僕は半年ほどで北海道に帰ってきて地元のサロンに勤めた。右も左もわからない小僧だった。
お客様の年齢層は50~70代と年配者が多かった。
刈り上げ、スポーツ刈、角刈、アイロンパーマ、アイパー…the barberサロンだ笑
僕は見習いのため先生の施術を後ろから眺める日々。
先生がスポーツ刈や角刈りのお客様のトップの部分を(頭のてっぺんを平らにする)手順をふんでハサミで刈すすめていく。ひたすら刈すすめていく…
直バサミをかけていく…ただひたすら(理容師の技術で刈り上げ面を凹凸がでないよう綺麗に整える作業)
カットにかける時間は20~30分くらいだろうか。
こっちが眠くなってしまう日もあった笑
※怒られますね笑
先生の作ったスポーツ刈、角刈は当時の僕からしたら正に芸術の域だった。職人技だ。
一糸乱れぬあの刈り上げ断面。
圧巻だった。
そして月日が経ちスポーツ刈の練習をしていた時に思ったのだ。
『何回やってもできねー…』
…
何回やっても僕がやるとガタガタにしかならない。
そんなもん練習が足りないからと言われれば当たり前なんだけど…腕をずっとあげてる状態になるので肩は凝るし疲れるし…
っていうか同じ事の繰り返しで飽きてくる。
(ほんとしょーもない性格です笑)そんな日々が続く中ある本に出会った。
『クリッパーカット!!』
バリカンとコームのみでヘアスタイルを作る指南書だ。
ロングヘアの指南が多かったがそれを見てるうちに思いついたのだ。
『こういうやり方もあるのか~そうだ!てっぺんの部分バリカンを使って切ってみよう!!』
思い立ちすぐにバリカンのみでスポーツ刈を作ってみた。
あきらかに仕上がりが違う。
バリカンのみで作った方がうまくできたのだ。
しかも面白いくらい早くできる。
バリカンを使った方が圧倒的に早くできるのになぜ先生はやらないのだろう?と。
僕は不思議でならなかった。なぜだ?先生もスポーツ刈のお客様を終えて『歳だからかな~目が疲れる…』と漏らしていた。
その時はまだ免許も取得していない小僧だったので先生には何も言えなかったが…
今日知り合いの理容師約20
人くらいに聞いてみた。『スポーツ刈どうやってやってますか?』
第①位 サイド、バックはバリカン、トップはハサミ。
(やっぱりね)
第②位 お客様によってオールハサミ、サイド、バック、バリカン。トップはハサミ。
(やっぱりね)
第③位 オールハサミ
(まぢかよ笑)
第④位 サイド、バック、トップもバリカン。
(0笑)
たったの20人くらいにしか聞いていないからなんとも言えないがここが理容室の悪しき慣習が未だにあるところだと思う。
基本は確かに大事だが時代の変化や潮流に適応していくべきではないだろうか。道具も常に刷新されてよりいいものになっているのに古い物ややり方にこだわる。別に古いもの=悪、とは思わないが
どんどん創意工夫して変えていくべきところは変えていくべきではないだろうか。
たしかに先生のスポーツ刈、角刈りはまるで定規をあてて切ったかのように一糸乱れぬ綺麗な彫刻のようだ。
僕も今では『ハサミでやれ』と言われればできるが先生の造った髪型の完成度には遠く及ばないだろう。
第①位、②位の人達に聞いてみた。なぜバリカン使わないの?
と。
『ハサミでやるのが普通だろ』
(でた!普通笑)
みんながみんな声を揃えてこう言うのである。
前書きが遅れたが僕は別にハサミでやることに関して否定はしない。それを持ち味にしている技術者もいるからだ。
すきバサミでスポーツ刈調なスタイルを作る人もいる。(全体的に柔らかい印象に仕上がる)
お客様に合わせて施術方法を変えている人もいるだろう。
でもこんなに便利な道具があるのに使わないのはもったいない。
なぜそういうものだからと決めつけてしまうのだろう。
変なプライドだろうか…
もっと柔軟に変化していくへきではないか。
先日とある美容師さんが僕が女性カットで襟周りのムダ毛をバリカンを使って施術しているところを見て『女性にバリカンは使ったことがないなぁ』と言われた。
僕『え?なんで?』
美『美容師は基本使わないから』
僕『え?なんで?早いし安全だしいいよ。』
※当店は病院内施設のため年輩者が多く、体調を崩されている方が多くいらっしゃるため手早く施術している。
美『この店ならそうかもね。』
僕『いやいや、そうじゃなくて美容室でも『トリマー』は使うでしょ?それと何が違うの?』
美『まあ言われてみればそうだね。』僕は謎だった。
トリマーは日常使っているのにバリカンは使わない。同じ類の物なのに。大きいか小さいかの違いだけじゃないか。
僕は別に基本を無視しろと言っているのではなく、愛着のある道具ややり方を捨てろと言っているわけでもなくプロとしてもっと使える物は使って技術者やお客様にとってより良い方法を常に追い求めていかなくてはいけないのではないか?と思っている。
kajiji
freepeace代表
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